【ネオレスト30年の軌跡】
フチなし形状・トルネード洗浄の開発ストーリー
汚れやすいフチをなくし、お掃除もしやすくなったフチなし形状。そのフチなしの実現のために、水の流し方を根本から考え直し、便器の上から下まで汚れを流しきるトルネード洗浄。世紀の変わり目に逆転の発想とアイデアで誕生したこれらのコア技術の開発は、開発者の自主的な研究が発端でした。
- スタンダードへ挑戦した「フチなし」
従来は、世界中のトイレメーカーのスタンダードだった「ボックススリム」式の便器。これは、フチの内部が水の通り道になっていて、フチ裏の小さな穴から吐水し、便器内を洗浄する方式です。しかし、ボックススリム式の便器には、穴と穴の間の水が届かない「不洗浄面」があること、隠れて見えずらく掃除しにくいなど、いくつかの問題があったのです。この問題解決のため、当時の常識に挑む「フチなし」を目指すことになりました。
- フチなしのために生まれたトルネード洗浄
「フチなし」を実現するには、水の流し方を根本的に変える必要がありました。ここで生まれたのが「トルネード洗浄」。フチの裏の穴から水を流すのではなく、1~2箇所の吐水口から水平方向に水を出し、渦を巻くように洗浄する方式です。
ただ、ここで大きな壁にぶつかります。水の勢いが強すぎると便器の外へ飛び出してしまい、逆に水流が弱いと便器内の形状、水の勢いなど、さまざまな要素を絡めた検討を何度も重ね、最適な数値を見つけ出すことに成功しました。
- 価値のないところに価値を
今でこそスタンダードとなった「フチなし」ですが、当初TOTO社内でも価値が感じにくいという意見がありました。
実際にトイレ掃除をしていなければ、価値を直感的に理解するのは難しかったのかもしれません。価値のなかったところに、新たな価値を提案する。そのために「お掃除ワーキング」というプロジェクトも立ち上げました。日本各地のトイレの汚れ方や掃除の実態調査をもとに、トイレを含めた水まわりのお手入れに関するセミナーを全国各地で行い、フチなしの価値訴求を地道に続けたのです。
- 「見る」を進化 / 高精度流体シュミレーション技術
トルネード洗浄をはじめとするこうしたさまざまな技術は、「流体シュミレーション」によってさらに進化することになります。2010年代から本格導入した流体シュミレーション技術によってトルネード水流による汚物の流れ方を具体的に分析することが可能になり、より効果的な水流の開発や節水が実現できたのです。
特に、最上位のグレードの「ネオレストシリーズ」では、2012年、床排水で大洗浄3.8リットルを実現。2017年には、トルネード水流の吐水口位置を変えることで、より効果的な洗浄を、ほぼ垂直なフチへと進化しています。