「今から始める相続対策」

相続対策の基本は分割・納税・節税です。

相続税の対処法は3つの観点から、考えます。

一つは相続が「争続」にならないよう遺言書を残すなど、「分割対策」をしておくこと。

二つめは、納税する資金に困らないように「納税対策」をすることです。

そして三つめは「節税」のために財産の評価額を下げること。

これは、不動産の利用や、生前贈与、生命保険への加入などの方法があります。

いずれにしてもどんな相続財産をどれだけ持っているか、まずは資産の棚卸しから始めましょう。

 

《対策1》

『不動産を活用し、評価を下げる』

一般的に相続財産の評価は現金や預貯金をそのまま持っているよりも、不動産を購入したりした方が低くなります。

土地や建物の評価額は、路線価や固定資産税評価額をもとにしている為、実勢価格や建築費よりも下がるためです。

不動産の評価額の違いから資産の組み替えを検討する方法もあります。

たとえば、自宅の相続税評価が高い場合にマンションなどへの住み替えをする事です。

不動産を第三者に貸した場合には、さらに評価額が下がります。

不動産投資やアパート経営が相続対策として活用されています。

ただし、これらは空室などのリスクも伴う為、事前に収支や事業計画なども良く調べて判断すべきです。

 

《対策2》

『小規模宅地等の特例を利用』

土地の評価額を下げる代表的な方策が小規模宅地等の特例の活用です。

被相続人と生計を一にする同居の親族が事業や居住用に使用していた宅地を相続する際に、一定の面積までを評価額から減額できます。

居住用の宅地は、330㎡を上限に80%を軽減。

親子で、事業を営んでいた場合など、特定授業用宅地は400㎡が上限です。

なお、アパート経営など賃貸に土地を利用していた場合は、「貸付事業宅地」となり、200㎡までが、50%の減額になります。

■小規模宅地等の例

被相続人が、生前に居住していた宅地面積:310㎡

評価額6000万円

330㎡以下なので

6000万円×20%(減額割合80%)=1200万円が課税価格に算入すべき価格

 

《対策3》

『生前贈与で、資産を縮小』

贈与を上手に活用する事で、相続金額を減額することができます。

まず年間110万円までの贈与(暦年贈与)は非課税となるので、その枠内で親や祖父母から子や孫への贈与をする方法です。

信託銀行の暦年贈与をサポートする商品を利用すると手間がかかりません。

また直系尊属(父・母・祖父母)から、住宅取得資金の贈与を受けた場合も一定金額まで非課税となります。

2017年9月までに、住宅取得の契約締結が行われた物件について、良質な住宅用家屋で1200万円、その他の住宅では700万円までとなります。

 

《対策4》

『納税資金の準備も考える』

相続税の申告・納付には被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。

期限を過ぎると加算税や延滞税がかかることがあるので、納税を見越した資金を用意しておく必要があります。

相続発生後に不動産を売却して、納税をするという方法もありますが、その土地について先に遺産分割協議をしなければならなかったり、遺族に思わぬ負担を掛けたりすることもあります。

専門家とよく話し合い早めの対策を行いましょう。

 

《対策5》

『遺言書を用意しよう』

不動産は分割しづらく誰が相続するかでもめる事も少なくありません。

これを防ぐために遺言は重要な準備です。

親の立場から「なぜ」「なにを」「どの子供に」残したいかを形にしてあげなければ子供達も納得感をもって相続を迎えられます。

不動産鑑定などをして価値を把握しておけば不公平感も減らせるでしょう。

遺言書は、①自筆で書く『自筆証書遺言』や②公証人が書面にする「公正証書遺言書」があります。

①は秘密が守られますが、内容に不備があった場合トラブルの原因となる事があります。

②は費用はかかりますが、確実性の高いものとなります。

以上、相続に関するお話をしました。

父母が元気な時、相続の話を切り出すのは少し抵抗を感じられるかもしれません。

しかし、亡くなってからでは大変です。早めに相続の実態をつかんで、その対策の手を打って置く事が懸命だと思います。

美和工務店には顧問税理士、顧問司法書士がおりますので、ご相談頂ければ対応いたします。

 

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近藤 正隆