家に何を求めるのか? いい家をつくる会会長 松井修三氏のブログより
2015年11月3日
いい家をつくる会会長 松井修三氏のブログより
私は、勉強会で真っ先にお客様に「家に何を求めますか?」と質問するときがある。
住み心地と決めるならば、構造は木造軸組を、断熱は「外断熱」を、換気と冷暖房は「涼温換気」を選ぶのがいちばんいい。
「涼温換気」は、構造の一部だからプランニングの最初の段階で十分検討する。大手ハウスメーカーの全館空調や個別のものは設備である。
ということは、「涼温な家」では、プランニングの段階で住み心地を検討しているということだ。これなら住み心地を保証できるというプランを提案するには、まず機械換気の最大の問題である維持・管理が容易にできるように配置が検討されていなければならない。センターダクトの位置、給排気口の位置はそこから導き出される。
設計士は、工事部の意見を求めた上で、社長のチェックを受け、最終的に私の判断を求めることになっている。
私は、60坪ぐらいの広さの家までなら、数分で住み心地と施工の問題点を判断できる。お客様のご要望にこだわりが多く高度な場合は、数時間かかる場合もある。住み心地のイメージが描きづらい場合は、何度でも変更を検討させる。
この作業は、実に楽しい。「こうすればもっとよくなる」という思いは尽きないからだ。
しかし最近では、設計力、施工力がともにすばらしく向上し、私が意見をさしはさむ機会が激減してしまった。
「いいね。いいね」の連続なのだ。
完成した家に入った瞬間、それらの「いいね。いいね」を実感することほどうれしいことはない。
寒さが気になる季節になってきた。
寒いと思ったら、「涼温換気」のスイッチを押す。それだけで30分もすれば、ほのかな暖かさに全身がやさしく包まれる。お客様もきっと「いいね。いいね」と言ってくださっていることだろう。